【沼津市】天然だしの文化を広め次世代に伝える「ヤマヘイ-ミカコーポレーション」の挑戦
静岡県沼津市志下。この地に、だし文化を未来へつなぐために奮闘する会社があります。株式会社ヤマヘイ-ミカコーポレーションは、「天然だしの本来の味を伝えたい」という強い信念のもと、日々ユニークな商品づくりに取り組んでいます。

創業した頃の有限会社山平水産 (画像提供:株式会社ヤマヘイ-ミカコーポレーション様)
ヤマヘイ-ミカコーポレーションは、1946年(昭和21年)創業の有限会社山平水産から派生し、2013年に販売部門として設立された食品会社です。天然削り節やだしパックのほか、カクテル感覚で楽しめる「おだしカクテル」や、スナック感覚の「だしップス」、毎日の食事に寄り添う「365 毎日おだし」など、素材の魅力を活かした斬新な商品展開で注目を集めています。

「だしップス」はあえて「かため」にしたお菓子で、よく噛むことでだしの味わいを楽しめる商品。お子さんのおやつにも適しています(ちどり沼津港ひものセンターにて)
こうした挑戦の原動力となっているのが、代表取締役の野中美香さんと、同じく経営に携わる野中起世さん。2人とも山平水産を営む家庭に嫁ぎ、「だし」と深く向き合うようになった女性です。

ヤマヘイ-ミカコーポレーションの商品の原料は昔ながらの「手火山式」で製造されています。(画像提供:株式会社ヤマヘイ-ミカコーポレーション様)
美香さんが「だし」の本質を伝えるために起業に至ったのは、ある時東京の人気店で試しに購入しただしパックがきっかけでした。「パッケージや演出は素晴らしいのですが、味がとても科学的で驚きました」と振り返ります。家族の反応も冷たく、「今日の料理は手抜き?」という声が返ってきたといいます。

Mizunotoの「お出しカクテル」は、厳選した原材料を粉砕せず、丁寧に優しく挽くことで生まれる商品(ちどり沼津港ひものセンターにて)
その体験が、「本物のだしを届けたい」という想いを強固にするきっかけとなりました。さらに、漁業を取り巻く環境の変化や水揚げ量の減少といった課題もあり、家族とともに新たな道を模索することに。こうしてヤマヘイ-ミカコーポレーションが誕生しました。

原材料は鰹の節のみ
一方、起世さんもまた、嫁ぎ先で出会っただしの世界に魅了された一人。「特に子育てを通じて、食の大切さを実感しました。だしは素材そのもののうま味だけでなく、心のゆとりや家族とのつながりも育んでくれる」と語ります。今後はまだ自社製品が届けられていない人たち、例えば高齢者にやさしい商品づくりにも、力を入れたいと感じているそうです。

株式会社ヤマヘイ-ミカコーポレーションの創業者で代表取締役の野中美香さん(左)と後継者の野中起世さん
伝統あるだしを、現代のライフスタイルに寄り添うかたちで提案し、その文化と魅力を広め、次世代へと伝えようと挑戦するヤマヘイ-ミカコーポレーションでのお話。だしという伝統文化の奥深さだけでなく、二人の女性に同じ志を抱かせたその魅力の大きさも強く感じられる時間となりました。
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